Newsピックアップ 妊娠・子育て日記 Yuuさんのe-ものみっけ
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*子供を持とうと思ったきっかけ

子供がほしいな、と思ったのは私が先でした。
実は、娘が生まれる1年少し前に一度、流産したんです。
夫は当時、子供はほしくないと言っていたんですが、
流産してはじめて、失ったものの大きさを感じたらしくて、
その後、ほしいと思うようになったようです。
流産から4カ月間、つくってもいい時期になるのを待って、
すぐに妊娠したのが、今の娘です。
実は、20代の終わり頃までは、子供というものは持たないで
一生やっていこうと思っていたんですよ。
日本の社会はもうダメだ、こんなところに子供を産んだら申し訳ない、
これじゃあ子供が減るのも当たり前だ、と半ば投げやりな気持ちでした。
それに私自身、仕事しながら子育てはできないのかな、とか
親として要求されることを全てこなせないのではないか、
などと考えて、私には無理だと思ってもいました。
でも、精神科医として、たくさんの親子関係の問題と向き合ううちに、
学歴や財産、そんなことはたいしたことじゃないんだ、
一番重要なのは、コミュニケーションする力、
つまり相手に自分のことを伝え、
お互いに考えや気持ちをやり取りできることなんだ、と気づいたんです。
これを大切に育てればいいんだ、と気持ちが決まったら、
子供を持っても大丈夫なんじゃないかと思いはじめて。
幸い夫にも恵まれましたし、社会が悪いからっていう理由で
子供を持てないのはおかしい、犠牲になることはない、よし産もう、と。


*子供を産んでよかったと思うこと

子供を産まなかったら、選挙にも出なかったと思います。
日本はもうだめだから外国にでも移り住もう、と思っていたんですよ。
でも実際に自分の子供が産まれたら、
その向こうに他の子供たちが大勢見えてきて、
自分たちだけ生き延びればいいということではないな、と。
よその子が今まで以上に可愛くみえて、
虐待問題もわが子のことのように許せないと思いますし、
これからの世代のためにも、子供を産むことをためらうような
社会環境を変えていかなければ、と思います。

*子供とのコミュニケーション

精神科医として、たくさんの親子に会ってきましたけど、
子供がこころの病気になったとき、仕事をしているお母さんは必ず
「今からでも仕事をやめた方がいいんでしょうか」といわれるんですね。
そういうとき、私は絶対やめないでくださいって言うんです。
子供からみると、親が働いてたことそのものが問題なんじゃなくて、
仕事を言い訳にして話を聞かなかったということが問題なんです。
コミュニケーションを親の方から切ってしまっていたんですね。
それで子供が心を閉ざしてしまう、そういうケースをたくさん見ました。
子供のことがわからなくなったら、何よりも
子供の声をよく聞いていただきたいと思います。


*自分が健康な心でなければ、健康な子供は育てられない

最近、たとえば、子供が自分の思い通りに
ちゃんと育っていないと困る、というような親の不安が
子供におしつけられていることが多いように感じます。
その不安な気持ちもわかるのですが、その結果として
子育てを自分の成績表みたいに考えてしまうと、
本人も楽しくないし、何と言っても子供がかわいそうです。
まわりからどう見えても、とにかくこの子の心が健康に
育っていけばいいんだ、そのためには自分も健康な心で
いればいいんだっていうふうに割り切っていくと、
ずいぶん育児は楽になるんじゃないかなっていう気はします。





*お知らせ

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水島さんのホームページ http://www.mizu.nu/
*健康な心でいるためには

自分が健康な心でいるためには、私の場合は、
やっぱりストレスを溜めないこと、
そのためにコミュニケーションを
必ずすること、ですね。
頭にきたら、その人にその日のうちに伝えるようにする。
言いにくいことでも、ここぞというときには、
「こんなこと言うけど怒らないでね」「こういう目的のためには
どうしても言わなきゃいけない」と言って話したりします。
思っていることを誠実にちゃんと話せば、怒る人というのは、
あんまりいないと思っています。


*弱点は悪ではない

よく患者さんから「自分はこのままでいいんだろうか」
という悩みを聞くんですが、
そんなに人間てがらりと変われないと思います。
人には、いろんな弱点がありますが、
私は何が弱点かを自分がわかっていればいいや、と思っています。
変わらなくて損をしている部分もありますけど、
それを変えないと、人間として劣っているというふうには思わないですね。
弱点ではあるけれども、「悪」ではない。
こんなもんだからしょうがない、と割り切っています。
逆に、自分のことを嫌いとか悪いとか、マイナスに思うことで、
実際にどんどんみじめになって弱点がますますひどくなったりしますから、
「これでいいんだ」と自分を認めた方が楽です。


*「自分に自信がある」人なんてほとんどいない

「これでいいんだ」というのは、自信を持つ、ということとも
少し違って、自分を大切にする気持ちのことです。
私は「自尊心」と言っているんですが、
これは自分に誇りや生きる気力を持たせてくれる。
だいたい、「自分に自信がある/ない」というのは変な言葉で、
この言葉でいろんな人が惑わされているんじゃないかと思います。
「自分に自信がある」なんて心底言い切れる人は
あまりいないし、いたらむしろ病気じゃないか、と思うくらいで、
多くの人は自分に自信もないし、やりたいことも決まっていない、
どうしたらいいんだろうなあって思いながら、
その日その日を食いつないでいくものだと思います。
そのなかで、できないことはできないんだから、
まずできることだけをやる、これは治療の基本でもありますけど、
今日はやるべきことができた、と満足する日もあれば、
できなかったー、と周りの人に話して
まあいいやってスッキリして寝る日もある、
それが健全な人間の在り方なんじゃないかな、と思います。


*「今日が大事」の過ごし方

そう言ってるわりには、私も毎日、
今日を大事に暮らしてるわけじゃないんですけど(笑)。
でも、「今日が大事」なんだけれども、
これはもう、ふて寝して過ごすのが賢いなっていう日もありますね。
巡り合わせの悪い日もありますし、生理前で気分が落ち込むこともある。
私はわりと春先はいつも気分が落ち込むんですけど、
そういうときにもう、動きまわらずにじっと静かに過ごす、
それも「今日を大事」にする過ごし方じゃないでしょうか。
「今日が大事、だから頑張れ」ってことじゃないんです。
あまり後悔しないように、1日を自分らしく健康に過ごせたらいいと思っています。
まあ最近は、ふて寝したくても忙しくてできませんが。

<おわり>
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