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目次へ 5 .お風呂・水遊びの安全
   子どもたちの水の事故について考えてみましょう。水の事故は溺死に直結しますので十分な注意が必要です。
5−1 お風呂場での溺れ
   乳幼児では自宅の浴槽で溺死する場合がほとんどです。1年間に50人前後の乳幼児が浴槽で溺死しています。健診時の調査によれば、1歳半までのあいだに、1/3の子どもは「お風呂場で滑った」「おぼれかかった」などの危険な目にあっています。 お母さんが洗い場で髪を洗っているときに、浴槽の中で子どもが溺れかかっていたなどのエピソードはよくあることです。浴槽で溺れる危険因子は、(1)浴槽の縁の高さが50 cm未満、(2) いつも残し湯をしている、(3) 浴室の入り口が入りやすい、の3つです。これらの危険因子の有無をチェックし、特に子どもが10カ月から2歳になるまでのあいだは、決して残し湯をしないようにしてください。家の中や庭に水が溜まったものを放置しておくことも危険です。乳幼児では、口と鼻を覆うだけの水があれば溺水となる可能性があります。バケツに水を溜めたままにしてはいけません。子どもが水が溜まったバケツの中に頭から落ちた場合、そこから抜け出すことはできません。
 小学生くらいの年齢では、浴槽の中でけいれんを起こして溺れることもあります。
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5−2 プールでの溺れ
   毎年、プールの排水口に吸い込まれて溺死する事故も発生しています。最近の例を挙げれば、新潟県横越町の町民プールで、2004年7月29日、小学校6年生の男児が排水口に両足を吸い込まれ死亡しました。排水口はプールの底より一段低くなった真ん中にあり、全体を覆う45cm四方、重さ約10kgの蓋は固定されていませんでした。 この事故で県警は11月15日、安全管理を怠ったとして町教育長ら6人を業務上過失致死容疑で新潟地検に書類送検しました。
 文部科学省は都道府県を通じて毎年5月ごろ、排水口のふたをネジやボルトで固定し、いたずらでも簡単に外れないよう通知を出していますが、このような通達行政は役に立たないのです。
 2005年4月21日の日経新聞によれば、日本体育施設協会は2003年から04年にかけ、38,626校を対象にプールの調査をし、30,203校から回答を得ました。その結果、589校では排水口の蓋が固定されていませんでした。
 1966年以降、排水口に吸い込まれて溺死する事故で50人以上の子どもが死亡しているにもかかわらず、いまだに固定していない学校があるのです。 事故が起これば、関係者は逮捕されるのです。文科省、教育長は文書で指示するだけでなく、必ずプールの排水口が固定されている写真を添付して報告させる、あるいは固定されていないプールは使用禁止とする必要があります。また排水口が固定されていない学校名はマスコミで大々的に発表することも有効と思います。
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5−3 その他の場所での溺れ
   排水口と少し異なりますが、気泡風呂で溺死することもあります。この場合、髪の毛の長い女の子が犠牲者になります。気泡風呂は、浴槽の水を吸引して空気を混ぜて吹き出しています。 小学校低学年の子どもたちは浴槽で潜ったりします。潜ったときに髪の毛が吸引口に吸い込まれ、顔を水面から上げることができず溺死します。気泡風呂を使用している家庭では、吸引口をチェックしてみてください。
 ボート遊び、釣りなどの時には、ライフジャケットを着用することが必須です。ときには、氷の上を歩いていて氷が割れ、溺死することもあります。
 思春期の子どもは、川や海で泳いでいて溺死する場合が多く、その原因の一つは飲酒です。20歳未満の飲酒の禁止を徹底するとともに、水泳には飲酒が危険であることを子どもたちに知らせることも必要です。
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5−4 救命処置ができるように
   水の事故は、発見が早く直ちに心肺蘇生術をすれば救命することが可能です。プールの管理関係者は人工呼吸、心臓マッサージができるよう訓練を受けておく必要があります。
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文責/日本小児保健協会
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