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7 .自転車に乗るときの安全 |
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7−1 自転車事故の実態 |
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平成16年度の15歳以下の自転車事故の実態をみてみましょう。自転車乗車中に死亡した子どもは58人、負傷した子どもは約3万9千人でした。負傷者数では自動車乗車中や歩行中より多くなっています。この交通統計にカウントされない自転車の事故は膨大な数にのぼっています。
年長児では、自分で自転車に乗って事故に遭うのですが、小さい子どもでは、お父さんやお母さんの自転車、いわゆるママチャリの補助椅子に乗せられての事故となります。
2000年2月から2カ月半のあいだに、ママチャリの事故についてアンケート調査が行われました。その結果、回答者のうち61%(未遂を含む)が事故を経験していました。212件の事故の事例が得られ、このうち98件で乳幼児が傷害を受け、そのうち38%が医療機関を受診していました。
東京都内の幼稚園児の保護者約2,800人を対象にしたアンケート調査では、ママチャリによって1,485回(1人で複数回を含む)けがをし、そのうち頭にけがをしたのは492回でした。ママチャリによる事故は2歳児に多く、走行中が42%、停車中が32%となっていました。停車して保護者が目を離したすきに、子どもを乗せた自転車が倒れる場合も多いのです。 |
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7−2 頭のけがの実態 |
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ママチャリの事故の場合、けがの箇所として最も頻度が高いのは頭部で36%となっています。子どもの骨は未だ未熟です。とくに側頭部は骨が薄いので、自転車ごと横に倒れると、頭蓋骨骨折や頭蓋内出血となることもあります。自分で自転車を運転している場合でも、重症な事故となるのは頭部外傷です。 |
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7−3 頭を守るヘルメット |
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米国のワシントン州シアトルで行われた症例−対照研究で、自転車乗車時にヘルメットを着用することにより頭部外傷の危険性を85%減らすことができたと報告されています。
その他のデータによっても、自転車乗車中にヘルメットを着用すれば頭部外傷の予防効果があることが証明されています。 |
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7−4 ヘルメット着用の推進活動 |
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世界で最初に、自転車に乗るときのヘルメット着用を法的に義務づけたのはオーストラリアです。以後、欧米では法制化する国が増えています。WHOも自転車乗車中のヘルメット着用を推進する活動を展開しています。
自転車乗車中のヘルメット着用率をあげるための活動もいろいろと検討され、両親に対してヘルメットの必要性を気づかせる、子どもがヘルメットを着用しやすい環境にする、ヘルメットを購入しやすくするなどが行われています。 |
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7−5 わが国での取り組み |
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製品の安全基準を設けている(財)製品安全協会では昨年7月に幼児用ヘルメットの認定検査を開始し、合格した製品には「SG(セーフティグッズ)マーク」が表示されるようになりました。それまで国内で1社だった製造業者は10社まで拡大し、出荷数も数千個から25万個に増えています。
最近、ママチャリによる事故が増加していることから、東京都は「ハートフルメットTOKYOキャンペーン」を実施し、都内10区市に2,000個のヘルメットを提供しました。また、杉並区では区内の2歳児の希望者全員に幼児用ヘルメットを無料配布し始めました。これらの動きが一時的なものではなく、継続して行われることを期待しています。 |
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7−6 今後の展望 |
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子どもの生命を守り、安全な生活を提供することが大人の社会的使命であるならば、子どもが自転車に乗る、あるいは乗せる場合にはヘルメットの着用を法的に義務づけることが必要です。大人でもヘルメットの着用を義務づけるべきと思います。
ヘルメット購入時の注意点としては、安全マークのあるものを選び、子どもに実際にかぶらせてみること、できれば側頭部を守るため耳まで覆うタイプのほうがいいでしょう。かぶるときは、頭囲とヒモを調整し、ずれがないようにしましょう。 |
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文責/日本小児保健協会 |