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目次へ 8 .園・学校での安全
   保育所や幼稚園、学校での事故はどのくらい起こっているのでしょうか?これらの現場に関わっておられる方は、どう感じていらっしゃいますか?「事故は多発している」と思っていらっしゃるかもしれませんし、「いやいや事故などそんなに起こっていない」と思っていらっしゃる方もいるでしょう。
 学校の管理下における児童生徒などの災害に対しては、医療費、障害見舞い金、死亡見舞い金などの災害共済給付制度があります。災害共済給付を行った統計は「学校の管理下の死亡・障害事例と事故防止の留意点」という本として独立行政法人日本スポーツ振興センターから毎年発行されています。この本から平成15年度の資料を見てみましょう。
 センターの災害共済給付への加入は、保育所は約180万人(加入率は94.2%)、幼稚園は約145万人(同82.4%)、小学校は約725万人(同99.9%)、中学校は約377万人(同99.8%)でした。
8−1 学校管理下の死亡
   死亡は保育所では6例、幼稚園では1例、小学校では19例、中学校では36例でした。この中には疾病による死亡も含まれていますが、毎年、事故のよる死亡の方が疾病による死亡より多く、事故死の内訳をみると交通事故によるものが多くなっています。 最近数年間に交通事故で死亡した以外の事故死をみると、雲梯に掛かっていた縄跳びの縄が首に掛かって窒息死(3歳、女児)、給食でデザートのぶどうを1個食べ、2個目を食べた直後に白目をむいて苦しがり、窒息死(3歳、男児)、園外の水たまりで溺死(3歳、男児)、箱ブランコの底面と地面のあいだに頭を挟まれ脳挫滅(4歳、男児)などが起こっています。
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8−2 災害共済給付の状況
   平成15年度の負傷・疾病の発生件数は、保育所では46,455件(発生率は2.58%)、幼稚園では37,548件(同2.59%)、小学校では482,991件(同6.66%)、中学校では411,485件(同10.9%)でした。保育所と幼稚園の発生率は同じとなっています。10年前の平成5年のデータをみると、保育所での発生率は2.93%、幼稚園では2.65%でした。 これらのデータから、年度による変化はほとんど無いことがわかります。すなわち、乳幼児では3%の子どもに災害共済給付が発生するような事故・疾病が必ず起こるということです。小学校、中学校の管理下でも膨大な数の事故や疾病が日々発生しているのです。
 保育所から高等学校までの児童・生徒、約1880万人の1年間の給付件数は198万件(10.5%)、給付の総額は201億円となっています。
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8−3 日常的な事故
   園内、あるいは学校の中だけで処理できるような事故については、公に発表されているデータはありません。ある試算によると、医療機関を受診するような事故の10〜25倍の事故が発生しているとされています。 このように、事故は非常に身近なことであるということを十分に認識して下さい。
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8−4 情報の公開が身を守る
   最近、医療事故が注目されています。新聞の紙面では、数日に1件は必ず医療事故の記事を目にします。中には、人を取り違えて手術するというような信じられない事故も起こっています。
 園や学校の管理者、あるいはスタッフとして、「園・学校の場で、事故は決して起こってはならない」と思っていませんか?起こってはならないと思っていても決意だけで事故を予防することはできません。
 最も大切なことは、日々、現場で起こった事故を正確に記録し、とくに医療機関を受診しなければならなかった事故については、詳細に検討して予防策をはっきりさせ、すぐに改善する必要があります。また、これらの状況をスタッフや保護者に公開する必要があります。
 事故が起こったことを隠ぺいしたり、事故が起こったときの状況についての記録を改ざんしたり、嘘をつくとかえって状況は厳しいものになると心すべきです。
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文責/日本小児保健協会
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