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9 .遊具の安全 |
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子どもにとって遊具は欠かすことができないものです。ここでは遊具の安全について考えてみましょう。 |
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9−1 厚生労働省による調査
(http://www.mhlw.go.jp/houdou/0110/h1029-3.html) |
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最近まで、わが国における遊具の事故の実態は不明でしたが、平成13年に調査が行われました。児童福祉施設において、平成8〜12年度の5年間に、1カ月以上の加療を必要とした事故について調査が行われました。
調査施設は34,645カ所(うち保育所 22,151、児童館 4,497、児童遊園4,975など)でした。5年間の事故件数は2,613件、遊具別にみると、「滑り台」が514件(19.7%)、「鉄棒・登り棒」が401件(15.3%)、「雲梯」が282件(10.8%)の順となっていました。
原因別にみると、滑り台やジャングルジムからの「転落」や鉄棒・登り棒・雲梯から手が離れて「落下」する事故が1,478件(56.6%)と半数以上を占め、「転倒」が346件(13.2%)、遊具と「衝突」が335件(12.8%)、「飛び降り」が272件(10.4%)、箱型ブランコで踏み板と地面(床)やブランコと支柱に挟むなどの事故が92件(3.5%)でした。
5年間に、骨折が1,925件(73.7%)、脱臼等が126件(4.8%)でした。「死亡」は3件で、滑り台によるもの1件、箱ブランコによるもの2件でした。1件は箱ブランコから落ちブランコと地面のあいだに頭を挟まれて死亡、他の1件は大揺れを防止するために支柱に張られていたビニールロープが首に巻きついた死亡事故でした。 |
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9−2 事故後の対応 |
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事故後の対応・改善策をみると、遊び方の指導をしたり使用時に職員が付き添うようにした「遊び方指導」が1,530件(58.6%)、箱型ブランコの踏み板と地面との隙間にマットを敷くなどの「遊具の改善」が292件(11.2%)、「遊具の撤去」が155件(5.9%)、「特に対応なし」が87件(3.3%)、「使用を禁止」が25件(1.0%)、回答がないものが460件(17.6%)でした。
事故が起こると、「本人の遊びかたが悪い」「気をつけて乗れば、そんなことは起こらない」などと指摘されますが、それでは事故は予防できません。また、注意事項をステッカーにしてあちこちに貼り付けても事故はなくなりません。職員や保護者が見ていても、見ている目の前で起こるのが事故であり、見ているだけで事故を防ぐことはできません。
どんな乗り方をしても、また見ていなくても安全であるように設計すべきであり、「不注意な乗り方・遊び方」という言葉は存在してはなりません。 |
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9−3 遊具の安全基準 |
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日本公園施設業協会が平成14年10月に発表した「遊具の安全に関する規準(案)JPFA-S:2002」では、箱ブランコは「ふさわしくない遊具」とされています。
その理由として、「可動する構造を有する遊具で、揺動部自体の重量が重いもの、揺れ幅が大きく、容易に利用者が制御できない状態になるもの、定員の制限がむずかしく過剰人数で利用可能なものは、生命の危険、または重度の傷害を引き起こす事故を発生させるおそれがあるため、利用指導が十分に行き届かない場合は遊具として利用することは不適切である」と述べ、その具体的な遊具として、箱ブランコ、遊動木、回旋塔が挙げられています。
箱ブランコの底面と地面とのあいだに十分なすき間を開けるか、箱ブランコそのものを撤去しないと同じ事故がまた発生するのです。 |
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9−4 今後の取り組み |
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重大な事故を起こす可能性があるものには、公的な安全基準の制定が必要です。この基準は業界の自主基準ではなく、独立した機関が検査、認定できるような公的なものにする必要があります。また、遊具の定期点検を義務づけ、継続して遊具の事故の情報収集を行う必要もあります。
遊具の安全を考える「プレイグラウンド・セーフティ・ネットワーク」(http://www.interaction.co.jp/~psn)というNPOが作成した資料も利用するといいでしょう。 |
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文責/日本小児保健協会 |