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11 .熱傷・火傷の予防 |
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毎年、3人に1人はやけどし、そのうちの1割の人は医療機関にかかり、その1割は入院しています。入院した人の1割は重症で、その1割は死亡するといわれています。
子どもの皮膚は大人の皮膚に比べて薄いため、より低い温度で、より早く、より深いやけどになります。子どものやけどの80%は家庭内で起こり、そのうち50%は台所で起こっています。やけどは、行動範囲が広がる1歳児に最も多くみられ、その原因として多いものは、熱湯や汁ものなど高温の液体、続いてアイロン、ストーブなどの熱源への接触となっています。
沸騰した湯や熱い食べ物によるやけどが最も重症で、子どもが熱い液体の入った入れ物をひっくり返して起こるやけどは、顔や手など、美的、あるいは機能的に重要な部分によくみられます。
家屋の火災による死亡は熱傷が原因ではなく、煙の吸入による中毒が主な死因となっています。 |
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11−1 年齢別にみたやけど |
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生まれて6カ月までの赤ちゃんは、大人が熱いものを飲みながら抱いていてこぼしたり、温度を確認しないまま熱いミルクを飲ませてやけどをします。7カ月を過ぎると、前に置かれた容器を手でひっくり返したり、背伸びをしてテーブルの上の物に手を伸ばし頭から熱湯をかぶったりします。
1〜2歳は、ストーブやアイロンなど表面に熱を持った器具に触れたり、テーブルの上のみそ汁、コーヒー、カップめんをひっくり返したり、床に置かれた炊飯器や加湿器の蒸気に触れたり、ポットを誤って押して足に熱湯をかけたりなど、家の中の熱源すべてがやけどの原因となります。4歳を過ぎると花火によるやけどが多くなります。保育の場では、食事に関連したやけどに注意が必要です。
その他、マッチ、ライター、バーベキューの鉄板に手をつく、止まったばかりのオートバイのマフラーに接触して足にやけど、表層が熱い浴槽に転落、熱いシャワーを浴びる、延長コードの差し込み口を口にくわえて口唇に電撃やけど、さらに火災によるやけどもあります。
やけどの一部は虐待によるものである場合があり、やけどをした部位のパターン(手背にタバコの火の押し付けなど)をよく観察する必要があります。 |
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11−2 やけどの予防 |
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子どもが7〜8カ月を過ぎたら、2歳まではやけどをする最も危険な時期と認識しましょう。
お湯によるやけどの危険性を知っていますか?大人の皮膚では、48℃の湯は痛みとして感じますがやけどは起こしません。54℃の湯では29秒間接触するとI度からII度のやけど、60℃の湯では3秒で重症のやけどになります。欧米では、ガス会社などがテレホンカードの大きさのカードに液晶温度計がついたものを無料で配布し、それで家の蛇口のお湯の温度をチェックして、設定温度を50℃以下にするよう指導しています。
電気ポットにはお湯が出ないようストッパーがついていますが、それでも子どものやけどが発生しています。家庭内の熱源は畳や床の上に置かず、1メートルより上に置くことが原則です。蒸気式加湿器の使用はやめ、冷たい霧が出てくるタイプの加湿器を使用します。子どもが引っ張ることがあるので、テーブルクロスは使用しないようにしましょう。ストーブには接触できないように柵をし、熱いものは転げない容器に入れるよう心がけます。 |
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11−3 火災の防止 |
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火災によるやけど、死亡を予防するには、すばやく避難するために煙探知機の設置、消火器の配備、自動消火スプリンクラーの設置などがあります。火事のときの避難計画を立てておき、逃げるときは煙の下を這って避難します。
防炎のため、難燃素材の指定など子どもの寝衣について法規制がある国(英、米、豪など)もあります。炎に触れても引火しにくいように、ひらひらしたドレスは避け、体にぴったりとフィットするものを身につけます。服に火がついたときには、その場に転がってごろごろ横転すること(ドロップ・アンド・ロール法)を子どもに教え、普段から訓練しておきます。
火災の出火原因として最も多いのはくすぶったタバコの火となっており、防火タバコの義務化の必要性が指摘されています。マッチやライターによる火災もあり、子どもには使えない構造のライターの開発が検討されています。
花火については、販売規制が行われている国、州もあります。幼児が花火をするときは必ず大人が付き添う必要があります。 |
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文責/日本小児保健協会 |