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子どもの事故予防に取り組む
   
目次へ 13 .セーフ・コミュニティ活動の展開
   これまで、いろいろな種類の子どもの事故の予防について述べてきましたが、日々起こっている子どもの事故を予防するにはどのように取り組んだらいいのでしょうか?
13−1 安全に対する世界的な動き
   一般に、病気が発生してから病気の予防を考え、事故が発生してから事故の予防を考えます。すなわち、健康障害の発生が出発点となっていますが、健康(health)や安全(safety)をもっと広い概念としてとらえようという動きがあります。人々にとって、健康と安全は基本的権利であり、安全は健康と福祉の維持や改善に前もって必要なものであるという考え方が出発点となって、health promotion(健康増進)やsafety promotion(安全推進)という考え方が出てきました。 これを実現するためには、地域を基盤とし、個人や社会が安全をどのように考え、何が必要かについて検討していくことが必要となります。1989年にスウェーデンで開催された第1回国際事故予防会議において「すべての人は健康と安全に対して平等な権利を有する。そのためには社会的格差に関係のない事故や外傷を減少させることが必要であり、safe communityプログラムがその鍵となる」というストックホルム宣言が採択されました。
 safety promotionとは、事故、自傷行為(自殺も含む)、暴力などによる外傷、およびそれによる安全・安心への脅威を、保健医療上の課題としてとらえ、公衆衛生学的なアプローチにより予防しようとする公的健康政策のことをいいます。health promotionのキーワードが生活習慣であるとすると、safety promotionのキーワードは環境となります。
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13−2 safe communityとは
   safety promotionには、国家レベル、コミュニティレベル、組織レベルなど、さまざまなレベルの取り組みがありますが、その中核となるのが地域における取り組みです。safety promotionは概念ですが、その具体的な活動としてsafe community があります。safe communityとは、安全で安心して暮らせるまちづくりをめざして、事故の予防活動を展開するコミュニティのことをいいます。safe communityでは、すべての種類の事故、全年齢層、すべての環境が取り上げられます。
 1975年、スウェーデンのファルショッピング市で事故予防の取り組みが始まりました。まず最初に事故が起きた場所の地図づくりが行われ、1978年には、事故のために受診した外来、および入院患者の登録制度、すなわち事故サーベイランスシステムが確立しました。そのデータ分析により、子どもや高齢者がハイリスクグループとして認識され、リスク環境が抽出されました。
 次に、60以上の異なる公共機関や組織、住民個人のあいだに広範なネットワークを立ち上げ、情報提供や会合がもたれ、全世代を対象とした包括的介入プログラムが実施されました。その結果は、事故サーベイランスシステムによって外来受診率、入院率として把握され、科学的な評価が行われました。介入前の1978年のデータに比べ、1981/1982年のデータでは、家庭内事故は26.7%の減少、労働災害は27.6%の減少、交通事故による外傷は27.7%減少しました。
 この取り組みがsafe communityの原型となり、WHO認証Safe Community 都市が誕生することになりました。認証されるには科学的な事故予防活動を継続的に行うことが義務づけられています(表)。現在、世界15か国84都市がこの認証を受けています。
 人々の健康を傷害する「事故」について、WHOは21世紀の最も重要な課題として積極的に活動を展開しています。わが国では、事故の問題はまったくといってよいほど注目されていません。「事故は重要な健康問題である」と認識して、身近なところから活動を開始してみる必要があります。


(表)WHO(世界保健機構)の
Safe Community 認証基準


(1) 地域において安全に関して責任をもつ組織・部門横断的グループによるパートナーシップと協働の基盤がある。
(2) すべての年齢層、環境、状況をカバーする長期的かつ持続可能なプログラムをもつ。
(3) ハイリスクの人や環境に対するプログラムがあり、弱者に対するセーフティプロモーション・プログラムをもつ。
(4) 事故の頻度と原因を記録するシステムがある。
(5) リスク低減策やその実施状況を評価・検証するシステムがある。
(6) 国内外のセーフコミュニティ・ネットワークに参加している。
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文責/日本小児保健協会
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