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子どもの事故予防に取り組む

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子どもの事故予防に取り組む
   
目次へ 16 . アドボカシーとしての
事故予防活動
   事故の予防は子どもにとってだけ重要な問題なのではありません。事故は老人においても生命を脅かすものとして重要なのです。子どもにも老人にも安全な環境を整備することは、すなわち成人も含めたすべての人に安全な環境を提供することでもあります。
16−1 事故の研究は100年遅れ?
   最近の医学の進歩は目ざましく、毎週のように、ある病気の原因はDNAのどこの異常であるという報告を目にします。一つ一つの病気が細かく分析され、それぞれの異常が同定されています。
  人々の健康を障害する事故は、日々膨大な数が発生し、被害を受けている人がたくさんいるのに、系統だった対策はほとんど行われていません。事故の領域の研究は医学のなかでは100年前のレベルともいわれています。
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16−2 事故に対する認識
   事故に対する各国の対応をみると、その国の人々の考え方がよくわかります。人権意識の強い国では、事故を防止する方策に積極的です。それらに比較し、わが国の人々は権利意識が低いように思われます。多くの日本人は事故について、「たまたま不運なことに遭遇した」「事故なんだから仕方がない」「今更何をいってもはじまらない」「自分だけが何か言っても変わるわけではない」「誰かが何とかしてくれる」と考えているように思われます。これらの反応や対応で、次の不幸な事故が防止できるのでしょうか?もう、「泣き寝入り」や「個人で悲しみに耐える美徳」の時代は終わったのではないでしょうか。
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16−3 国民の意識の変革を
   「子どもの生命や健康を脅かす最大の敵は病気ではなく、事故である」ということを認識していただきたいと思います。最終的には、「安全な社会を作る」という意識が自立した国民のあいだに高まって、事故の調査、研究を行い、法的な整備を含めた対策を継続的に行っていく必要があると考えています。
 「人間は必ずミスを犯す」ということを前提にすれば、ミスを犯しても安全である仕掛を考えることができます。このフェイルセーフという考え方が、人類を月にまで安全に到達させたのです。工学的な事故の予防技術など具体的な解決法がわかっているものはたくさんあります。それらについては、実行するか否かだけの問題なのです。各市町村の長が、住民の健康と安全を確保しようと本気で取り組めば、すぐにできることはたくさんあるのです。
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16−4 国立の事故予防センターを
   いざ事故の予防活動を実際に展開しようとすると、そのつかみどころのなさを前に絶望的になることもあります。また、何をやっても・・・と無力感にとらわれることもあります。しかし、ともかく一歩踏み出さない限り、問題は何一つ解決しないのです。
 民間のボランティアを中心とした事故予防活動も大切ですが、最終的には、国民全体の健康問題として重要であり、今後も決してなくなることのない「事故」の研究を専門に行う国立のセンターの設立が急務と考えています。このセンターでは、交通事故、中毒、学校の事故、労災などの他、諸外国のように自殺、他殺なども含んだ総合的な事故の実態の把握、解析、予防対策などを研究する必要があります。このセンターの設置の必要性を国民は十分認識し、設立を要求すべきと思います。21世紀は、安全を最優先する社会となることを期待しています。
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文責/日本小児保健協会
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