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2 .「乳幼児期の食育」 |
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子どもは、新生児から乳児、幼児、学童へと成長・発達していきます。
乳幼児期は、運動機能の発達が最も旺盛な時期で、摂食機能も発達します。この時期、子どもは、お母さんに食べさせてもらいながら口腔機能の使い方を覚え、やがて食具を使いながら自分で食べるようになります。しかし、子どもの消化吸収の機能はまだ未発達ですから、衛生面での注意が必要です。
また、幼児期は、基本的な食習慣を形成する重要な時期でもあります。精神面の発達もめざましく自我が形成されるので、子どもと養育者の関係は食事行動にも大きな影響を与えます。 |
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2−1 栄養バランスの考え方
基本は一汁2菜 |
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一日や1食に何をどのくらい食べたら十分な栄養が摂れるのか。これは、毎日の食事作りをしているお母さんにとっては悩みのタネです。
基本は、主食・主菜・副菜と汁物、つまり「一汁とご飯におかずが2つ」です。「主食」はご飯やパン、麺類、シリアル。「主菜」は肉、魚、卵、豆製品などを使ったメイン料理となるおかず、「副菜」は野菜やいも類、海藻類などを使ったおかずです。もう1品添えるなら、漬物、煮豆、海苔、果物などの簡単なもの。汁ものは、子どもの苦手とする野菜やきのこ、海藻などが食べやすいでしょう。これで栄養的にもバランスのとれた献立になります。
一日3回のメイン料理は、肉料理・魚料理などが重ならないように考えます。そして、毎日の夕食も重ならないようにすると、バランスもよく、バリエーション豊富な献立になります。
しかし、幼児期は「ムラ食い」や「ばっかり食い」、好き嫌いの時期で、お母さんがいくら献立を整えても子どもは残してしまうこともあります。それでも「食べないから作らない」というようなことがないようにしてください。長い目で見れば、いろいろな食材や調理法を見たり味わったりすることは、子どもにとってとても必要な経験です。将来、なんでも食べられる子にするために、献立を工夫しましょう。 |
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2−2 虫歯の予防
歯みがきの習慣が大事です |
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虫歯は大人にもみられますが、その発生時期からすると子どもの病気。虫歯は、子どものときから正しい生活習慣を身につけることによって十分防ぐことができます。
虫歯をつくる因子はいくつかあります。その第一は、口の中に常に存在しているミュータンス菌。ミュータンス菌は歯の表面に付着し、食べ物のなかの糖分からでんぷん様の物質(歯垢)を作ります。この歯垢のなかにさまざまな菌が繁殖し、そこでつくり出された酸が歯を溶かすのが虫歯です。
第二の因子は、歯質です。歯質が強ければ、簡単に酸に溶かされることはないのです。強い歯を作るには、妊娠中はカルシウムを摂る必要があると言われていますが、実はそれにはあまり根拠がありません。歯質を強くするためには、フッ素での歯磨きが効果的です。第三の因子は、食べ物、特に砂糖です。砂糖は歯垢の元となり、虫歯の原因となります。
ですから、虫歯予防のためには、砂糖が要注意。調味料に使う砂糖を少なくする、砂糖を含むお菓子はダラダラ与えない、2歳ころまでは、乳酸菌飲料・イオン飲料・果汁などを習慣的に飲ませない、などの注意が必要です。睡眠時(唾液の量が少なくなる)直前に食べ物を食べると、歯垢中の酸がいつまでも持続し虫歯を作りやすくなりますので、寝る前に母乳やミルクを与えたときは、ガーゼなどで歯面をふき取りましょう。早い時期からの歯磨き習慣も大切です。 |
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2−3 遊び食い・むら食い・のろ食い
食事の前はおなかを空かせる |
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1歳ぐらいになると、食べ物で遊んだり、歩き食べを好んだり、食欲にむらが出てきたりと、食べるのに時間がかかり、さまざまな食事上のトラブルが出てきます。これは、子どもの心や身体の成長に伴って起きる、ごく自然な姿で、いずれ卒業するものですが、対応を間違えると、症状を長引かせたりこじらせることもあります。子どもの気持ちを汲み取りながら、けじめのある生活を心がけましょう。
この時期の子どもの様子を見てみると、手づかみで食事を取りたがったり、食べ物に興味をもって遊んだりしています。一人歩きができるようになると、じっとしていることも苦手。周りのことに興味が広がるので、食事中も気が散りやすくなります。また、幼児期は赤ちゃんのころに比べると身長や体重の増え方が少なくなるので、食べる量が減ることもあり、ちょっとした情緒の変化で食欲が落ちることもあります。そして、おしゃべりが上手になって、食事中も夢中で話したがります。
このような時期には、次のような注意をしましょう。まず、食事の時間にはお腹が空いていることが必要ですから、食事や間食の時間をきちんと決め、おやつは1回の量を決めます。日中は、身体を使った遊びや散歩などをとり入れ、食事の時間はテレビを消して落ち着いた楽しいものにします。子どもが食べたがらないときには無理に食べさせることはせず、食事時間は30分くらいにしましょう。 |
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2−4 下痢・嘔吐
上手に水分補給を |
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乳幼児期には、ウイルス感染や細菌感染が多くみられ、抵抗力も弱いので病気しやすく、それに伴い下痢や嘔吐を起こしやすくなります。下痢や嘔吐は、身体内の水分が電解質を消失するため、脱水症状を起こします。中程度以上の脱水では、直接静脈内に点滴で水分を補給しなければなりませんが、軽い場合には、できるだけ早く体力を回復させるために、食事内容に気をつける必要があります。
母乳を飲んでいる子どもの場合は、下痢でも母乳を中断する必要はありません。人工ミルクを薄める必要もありません。嘔吐がある場合は、1〜2時間絶食すれば少しずつ飲めるようになります。
軽い下痢の場合は、水分補給が主体になります。与える水分は、単なる水でなく、ナトリウムやカリウムなどの電解質を少しと2〜3%の糖質を含んだ小児用イオン飲料がいいでしょう。野菜スープや、少し薄めた味噌汁の上澄みも使えます。ジュースや大人用のイオン飲料は下痢を長引かせることもあるので、飲ませないほうがいいでしょう。
下痢のときは、早期に食事を開始したほうが、回復が早くなります。その際、脂肪の多い食べ物や糖分の多い菓子類は与えないようにします。
嘔吐には、人肌程度のイオン飲料を少量ずつゆっくり与えます。急にたくさん飲ませたり、酸味あるジュースを飲ませたりすると、かえって嘔吐を誘発するので気をつけましょう。 |
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